アイソメ図は、立体を斜め上から見たように描く図です。図版イラストでは、建物・設備・工場・装置・街・施設・商品の構造を説明するときに使われることがあります。
ただし、アイソメ図という言葉は、もともと製図や設計の分野で使われてきた言葉です。この記事では、CAD図面や建築図面としてのアイソメ図ではなく、説明用の図版イラストとして使うアイソメ図について説明します。
アイソメ図は、斜め上から見たように立体を表す図
アイソメ図は、ものを正面からではなく、斜め上から見たように表す図です。等角投影図とも呼ばれ、奥行き・幅・高さの関係を一枚の図の中で見せやすい特徴があります。
図版イラストで使う場合は、厳密な製図というより、構造や配置を説明するための表現として扱います。たとえば、施設の内部、工場の設備配置、建物の一部、商品の構造などを、読者が一目で把握しやすい形に整理して見せるために使います。
CAD図面としてのアイソメ図と、説明用の図版イラストは別物
アイソメ図は、建築、配管、機械、製品設計などの分野でも使われます。この場合は、寸法、角度、部材の位置関係などを正確に伝える図面として扱われることがあります。
一方、書籍、雑誌、ビジネス資料、広告などで使う図版イラストでは、正確な施工や設計に使う図面ではなく、読者に内容を理解してもらうための説明図として作ることが多くあります。
当所では、CADや製図、建築図面のご依頼は承っていません。正確な設計図面が必要な場合は、建築士、設計者、CAD図面の作成者に依頼する領域です。
発注前には、自分が必要としているものが「設計や施工に使う図面」なのか、「読者に構造を説明するための図版イラスト」なのかを分けて考える必要があります。
図版イラストでアイソメ図が使われる場面
図版イラストとしてのアイソメ図は、平面図や正面図だけでは伝わりにくい内容を説明するときに向いています。特に、複数の要素の位置関係を見せたい場合に使いやすい表現です。
たとえば、工場の中にある設備の流れを示す図、施設内の部屋や装置の配置を示す図、建物の一部を切り出して内部構造を見せる図、商品の内部にある部品の関係を示す図などです。
街や施設全体を俯瞰した図にも使えます。ビジネス資料でサービスの仕組みを説明するときや、広告で商品や設備の特徴を見せるときにも、アイソメトリックイラストとして扱われることがあります。
ただし、何でもアイソメ図にすればわかりやすくなるわけではありません。正面から見せたほうがよいもの、断面図にしたほうがよいもの、構造図として整理したほうがよいものもあります。立体的に見せる必要があるかどうかは、図で説明したい内容から判断します。
アイソメトリックイラストの修正の注意点
アイソメトリックイラストを Adobe Illustrator で制作する場合、これは3DCGではないことに注意が必要です。
3DCGでは、空間の中に物体を置いていくように作るため、後から配置を変えるのは簡単です。しかし、Adobe Illustrator による制作の場合は、配置したものを容易に動かせない場合があります。
というのも、手前にあるものと奥にあるものでは、見える大きさや角度が違うからです。「そのまま移動させればいいのでは」と思われるかもしれませんが、そのまま移動させるとパースの違いが目立ち、その場にそぐわない形に見え、不自然さが出てしまうのです。
そのため、たとえば「この機械を右へ移動したい」「この棚を奥へ移したい」といった修正は、そのモノ自体が描き直しになる場合が多く、修正費を頂戴せねばならないケースもあります。
また、3DCGでは途中でアングル (どの角度から見るか) を変えることはできますが、Adobe Illustrator による制作はあくまで2Dなので、それができません。依頼の際には、最初から「どのアングルで制作するか」を決めた上でスタートする必要があり、途中でアングルを変える場合は全体が描き直しになります。
アイソメトリックイラストと3D制作の違い
アイソメトリックイラストと3DCGでの制作がどのように違うのか、簡単にまとめると次のとおりです。
3DCGによる制作
- 空間座標をベースに作られる
- モノの位置が移動しようともパースが正確に保たれる
- 制作途中にアングルを変えられる
- テクスチャの貼り付けができる (プリセットに限る)
- 特殊な表現 (線の表現、水彩ぽい塗りなど) はできない
- 納品されるデータはビットマップであり、解像度を気にする必要がある
Adobe Illustratorによる制作
- 平面の2D制作である
- モノを移動させるとパースが合わず、不自然に見えることがある
- 途中でアングルを変えられない (変えると全部が描き直しになる)
- テクスチャの表現はパターンスウォッチの工夫でかなりできるが、曲面に合わせた貼り付けなどはできない
- 線のエフェクト、パターンの工夫などで表現の幅を広げられる
- Adobe Illustrator データのまま印刷等に使用できる
このように比較すると、アイソメトリックイラストを作るのに機能的に優れているのは3Dソフトで作る方です。ただし、3Dでの制作は空間全体を作るためそもそも制作過程が複雑で、手間と時間がかかるので、費用は高くなります。
一方、Adobe Illustrator で制作する場合は、最初にアングルやモノの配置をしっかり決めておく必要があります。しかしそれさえ決まってしまえば、見えている部分だけをどんどん描き進めていけばよいので、制作は意外に早く進むことが多いです。また、.ai データは拡大・縮小が自在なので、印刷等への取り回しが便利です。
依頼前に決める内容
当所では、Adobe Illustrator を使った2Dイラストや、Adobe Dimension を使った3Dイラストに対応しています。CAD製図や建築図面は承ることができませんので、何卒ご了承ください。
俯瞰的なアイソメトリックイラストを依頼したい場合は、次のような要素を決めておいてください。
- その図を作成する目的 (何を説明したいのか)
- 配置するモノを具体的に決める (絵として作成した場合に無理が生じる場合はこちらで整理をしますので、まずは具体的な要素を洗い出してください)
- 専門的な機材や設備が登場する場合、その説明について用意する (当所では専門知識は持ち合わせておりません)
- 3Dで制作するか、Adobe Illustrator で制作するか (費用や時間の兼ね合い)
イラスト制作依頼の際は、以上のような情報の整理が必要です。この整理がないまま依頼すると、完成後に大きな修正が発生しやすくなります。アイソメ図は配置や角度が図全体に関わるため、要素の追加や移動が小さな修正で済まない場合があり、修正には追加費用が発生することもあります。
建物、設備、施設、商品の構造を説明する図版イラストの制作をご検討の場合は、図版イラスト制作所までご相談ください。





