説明したい部分が小さいとき、図全体を大きくすれば解決するとは限りません。皮膚の構造を紹介するページで、細胞の周辺まで見せようとして全体図を拡大すると、誌面の大半を占めてしまいます。一方、細胞だけを描くと、それが皮膚のどこにあるのかわかりません。全体の図から一部分を取り出して大きく描く拡大図は、この2つの情報を並べて見せる方法です。製品の接合部、植物の細部、小さな器具の先端などにも使われます。
拡大する場所と、拡大後の内容をつなぐ
全体図には、拡大する範囲を枠や印で示します。その印と拡大図を線でつなぐと、読者は場所をたどれます。ただし、線が何本も交差していると、どの部分を拡大したのかがかえってわかりにくくなります。近い場所に拡大図を置く、番号で対応させる、拡大する箇所を別々の図に分けるなど、ページの広さと説明の順番に合わせて配置を考えます。細部を載せるために全体像が小さくなりすぎないことも大切です。
皮膚の解説で、見える範囲を変えた例
掲載画像は、生活に関わる化学を扱う一般書の制作例です。皮膚を立体的に示した図に加えて、細胞の周辺を拡大した図を配置しています。外側から見た層の位置と、細かな部分の並びを異なる大きさで描いています。拡大した箇所では、全体図に入れると潰れてしまう形も示せます。本文が大きな構造から細かな仕組みへ進むページでは、読者の見る範囲を図でも切り替えられます。
拡大した図には、別の整理が必要になる
全体図の一部を単純に引き伸ばしても、細部が説明できるとは限りません。元の図が小さく載る前提なら、細かな形は省略されているからです。拡大図として使うときは、その大きさで必要になる情報を描き加えます。逆に、全体図にしか必要ない周辺部分は減らせます。部品の形や細胞の並びなど、資料で確かめる範囲も変わります。見せる大きさに合わせた描き分けによって、図が単なる拡大画像ではなく説明として働きます。
全体と細部を往復できるページにする
拡大図は、細かいものを見せるだけの飾りではありません。本文に出てくる小さな部分を探し、その位置を全体に戻って確認するためにも使えます。説明が長くなる場合は、拡大図にも名称や短い注記を添えます。全体図と拡大図で同じ部分の色や呼び名をそろえると、対応を確かめやすくなります。化粧品の解説、教材、製品資料などで、全体と細部の関係が必要な図版を制作しています。
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