教材図版とは、教科書・参考書・問題集・塾教材などで、学習内容を説明するために使われる図・イラスト・地図・グラフなどのことです。
理科の実験器具や生物の構造図、社会科の地図、歴史の流れを示す図、数学の図形やグラフなどは教材図版としてよく使われる例です。
この記事では、教材図版とはどのような図版を指すのか、教科書・参考書・問題集でどう使われるのか、外部に依頼するときに何を伝えるのかについて解説します。
教材図版とは、教材の内容を説明するために使う図版
教材図版とは、教材の内容を読者に説明するために使われる図版です。教科書、学習参考書、問題集、資料集、塾教材、通信教育教材、デジタル教材などで使われます。
教材図版には、図、イラスト、地図、グラフ、模式図、関係図、構造図などが含まれます。文字だけでは形や関係を説明しにくい内容を、紙面や画面の中で見える形にするために使います。
たとえば、理科では実験器具、観察図、生物の構造、化学反応の模式図などが使われます。社会科では地図、分布図、歴史の流れ、制度や人物の関係を示す図などが使われます。数学では図形、立体、座標、グラフなどが使われます。
教材図版は、教材の本文や問題、解説と結びついて使われるものです。絵そのものを見せる用途のイラストではなく、教材の中で何かを説明する役割を持ちます。
教材イラスト・教育用イラストとの違い
教材図版に近い言葉として、教材イラスト、教材用イラスト、教育用イラストがあります。
教材イラストや教育用イラストは、教材や授業で使うイラスト全般を指す広い言葉です。学校の先生が授業プリントに使うカットイラスト、学級通信に入れるイラスト、無料素材サイトで配布されている学校向けイラストなども、この言葉に含まれることがあります。
一方で、教材図版は、教科書・参考書・問題集などの教材制作物に入り、本文・問題・解説の内容を説明する図版を指す場面で使われることが多い言葉です。
人物カットや季節のイラスト、学校生活のイラストも教育用イラストではあります。ただし、教材図版という場合は、学習内容や問題内容を説明するための図、イラスト、地図、グラフなどを指すことが多くなります。
当所では、無料素材や授業プリント用のカットイラストではなく、教材制作物の図版制作そのものを中心に扱っています。
「学参図版」とは
学習参考書や問題集の分野では、教材図版に近い言葉として「学参図版」という用語が使われる場合もあります。
学参図版は、学習参考書、問題集、資料集、模試、塾教材などで使われる図版を指す言葉です。理科の実験図、社会科の地図、数学の図形、英語や国語の説明用イラストなど、学習参考書や問題集に入る図版全般を指して使われます。
教材図版と学参図版は、厳密に定義が違うというわけではなく、媒体や業界の文脈によって使い分けられているというのが実情です。
教材図版が使われる媒体
教材図版は、教科書だけでなく、学習内容を説明する教材制作物の中で広く使われます。
- 教科書
- 学習参考書
- 問題集
- 資料集
- ワークブック
- 塾教材
- 通信教育教材
- 模試・テスト教材
- 教育系冊子
- デジタル教材
教材出版社、教科書会社、学参編集者、教材制作会社、編集プロダクション、塾教材の制作担当者は、こうした媒体を作る中で教材図版を用意します。
教材図版は、本文の説明に使う場合もあれば、問題の一部として使う場合もあります。解説ページ、資料ページ、章末問題、確認テスト、ワークシートなどに入ることもあります。
理科で使われる教材図版
理科は、教材図版が特に多く使われる分野です。
実験器具、観察図、生物の構造、細胞、人体、地層、天体、化学構造、粒子の模式図、反応の流れ、電気回路、力の向きなど、文章だけでは形や関係を説明しにくい内容に図版が使われます。
理科の教材図版では、実物に近く描く場合もあれば、学習内容に合わせて模式化する場合もあります。
たとえば、実験器具の図では、器具の形や配置がわかることが必要です。化学の粒子モデルでは、粒子の数、並び方、変化の前後関係が伝わることが必要です。生物の構造図では、各部位の位置関係や名称が読み取れることが必要です。
社会科で使われる教材図版
社会科では、地図が多く使われます。
白地図、分布図、歴史地図、地形図、地域の説明図、人口や産業の分布を示す図などです。社会科の教材では、地理、歴史、公民のそれぞれで、地図や図解が重要な役割を持ちます。
地理では、地域の位置、地形、気候、産業、人口分布などを示すために地図や分布図が使われます。歴史では、出来事が起きた場所、勢力の広がり、移動経路、時代ごとの領域などを示すために地図が使われます。
また、歴史や公民では、出来事の流れ、人物や制度の関係、社会の仕組み、行政の構造、産業のつながりなどを図で整理することもあります。
その他の教科で使われる教材図版
数学では、図形、立体、座標、グラフ、表、数量関係を示す図などが使われます。ただし、数学の図版は数式や作問意図と結びつきが強く、数学専門の組版の範囲で作られることが多い分野です。
英語や国語の教材にも、本文や会話、物語の場面を説明するイラストが入ることがあります。こちらはどちらかというと見た目の楽しい、興味を惹く絵柄が用いられることが多いです。
教材以外で使われる図版: 一般書、展示物、ビジネスなどの分野
教材図版は教科書や参考書、問題集などで使われる図版を指す言葉ですが、教材図版と近い作りのイラストは、教材以外の媒体でも使われます。
たとえば、次のような場面です。
- 子ども向けの図鑑で、生き物・自然現象・道具・建物などを説明するイラスト
- 科学系の一般書で、実験・構造・仕組み・現象を説明する図版
- 技術解説書で、機械・製品・部品・作業手順を説明する図版
- 展示パネルで、展示物の構造や背景知識を説明する図版
- 企業研修用の教材で、業務の流れや製品の仕組みを説明する図版
- パンフレットや解説冊子で、制度・工程・関係性を説明する図版
これらは必ずしも教育用の図ではありませんが、文章だけでは伝わりにくい内容を、図やイラストで説明するという点では教材図版に共通しています。
教材図版の基本的な制作過程
教材図版は、教材を作る流れの中で必要が生まれます。教科書や学習参考書も一般書と同じように企画・執筆・編集といったプロセスを経て作られますが、その中で「ここは図がないと説明しにくい」「この問題には地図が必要」「この単元には模式図が必要」といった判断があれば、教材図版の出番です。
このような流れで作られるため、原稿ができてから図版の内容や仕様が具体的になることが多いです。図版制作者は、原稿・紙面ラフ・掲載サイズ・参考資料・既存図版をもとに、紙面に入る図版を制作します。
既存図版をベースにした制作
教材図版の制作では、以前の教科書や参考書で使われた図版をベースに、新しい教材用の図版を制作することがあります。
教科書は数年ごとに改訂されますが、同じ学年・同じ教科で扱う内容の全部が完全に入れ替わるわけではありません。とはいえ著作権や使用条件の都合上、以前の図版をそのまま使えるとは限りません。そこで既存図版をベースに少し変えて作ることがあります。
このような場合は、新しく作っている紙面のデザインレギュレーションに合わせてカラーなどの仕様を決め、それにマッチする形で作ることが多いです。
教材図版の依頼先
教材図版は、教材制作会社、編集プロダクション、図版制作会社、地図制作会社、イラストレーターなどに依頼されます。
個人のイラストレーターへ依頼する場合は、依頼先の選定には注意が必要です。というのも、SNSなどで見かけるイラストレーターは、フォロワー数が多くても実務経験がない場合があり、実績があるかどうか、取引先としてビジネススキルに問題がないかなどをチェックして決めたほうが良いでしょう。
また、個人のイラストレーターは、自由で柔らかいタッチの絵や、アニメ風の絵柄を好んで制作する人は多いですが、教材図版のような制作物で実績を持っているイラストレーターはあまり多くないのが実情です。
当所は編集プロダクションや教科書・教材制作会社との取引実績があり、理科系・社会科系・地図図版など様々な制作実績があります。また、Adobe Illustratorの著作経験もありますので、安心してご依頼いただけます。
教材図版の依頼先を選ぶときは、絵柄だけでなく、原稿や紙面の意図を読み取り、指示に沿って図版を整えられるかが重要です。
教材図版を依頼するときに渡す情報
教材図版の依頼では、すでにある原稿、紙面のラフ、掲載位置、参考資料などを、図版制作者に伝わる形で渡します。
図版を作る側に必要なのは、何を説明する図なのか、どの紙面で使うのか、どの大きさで載るのか、既存図版や参考図のどこを踏まえ、どこを変えるのかという情報です。
依頼時には、次のような情報を共有します。
- 使用する媒体
- 対象学年・対象読者
- 教科・単元
- 本文原稿
- 図版を入れる位置
- 掲載サイズ
- カラーかモノクロか
- 手描きラフ
- 参考資料
- 過去の図版
- 図版規定
- 文字や記号の入れ方
- 納品形式
教材図版では、原稿や紙面の中でその図版が何を説明するのかが重要です。指示書には、単に「このような図を作る」と書くだけでなく、本文との関係、入れる要素、不要な要素、参考図から変えたい点を示す必要があります。
図版指示が明確であれば、制作者は紙面に合わせて図版を作りやすくなります。逆に、参考資料だけがあり、何を残して何を変えるのかが不明確な場合、確認や修正が増えます。
教材図版を外部に依頼する場合は、原稿、ラフ、掲載サイズ、参考図、図版規定を、依頼先に伝わる形でまとめることが必要です。これは、図版指示書の書き方にも関わる部分です。
まとめ: 教材図版とは。教材図版制作のポイント
教材図版の使われ方や依頼方法のポイントは、教材の中でその図版が何を説明するのかを明確にし、原稿や紙面に沿って依頼先へ伝えることです。
この記事で伝えたかったことは、次の5つです。
- 教材図版とは、教科書・参考書・問題集・塾教材などで、学習内容を説明するために使う図・イラスト・地図・グラフなどのことです。
- 教材イラストや教育用イラストは広い言葉ですが、教材図版は本文・問題・解説の内容を説明する図版を指す場面で使われることが多い言葉です。
- 教材図版には、理科の実験器具や生物の構造図だけでなく、社会科の地図、歴史や公民の関係図、数学の図形やグラフなども含まれます。
- 図版の指示は、原稿や紙面がある程度見えてきた段階で具体化し、ラフ・参考図・既存図版・図版規定などをもとに制作します。
- 教材図版を依頼するときは、何を説明する図なのか、どの紙面で使うのか、参考図から何を残し何を変えるのかを、依頼先に伝わる形で示すことが必要です。
教材図版の制作のご依頼がありましたら、ぜひお問い合わせください。





