図版制作の外注先は、依頼する媒体と題材の制作経験を基準に選ぶ

図版制作の外注先を探すとき、ポートフォリオに好みの絵があるかだけを見ても、依頼した仕事を任せられるかは分かりません。先に確認したいのは、依頼する媒体と題材に近い仕事を経験しているか、必要な範囲まで対応できるかです。

教科書の図版を一点制作する仕事と、展示パネル用に20点以上を制作する仕事では、確認の方法もデータの作り方も違います。外注先は、完成画像の印象だけではなく、自分の案件と同じ条件を扱った経験から選びます。

最初に見るのは、依頼する媒体の制作経験

印刷物なら、実際の掲載サイズ、使用色、入稿形式に合わせて図を作る必要があります。たとえば1色、2色、3色の紙面では、フルカラーの作品をそのまま流用できません。図版イラスト制作所にも、1色の医学書、2色の一般書、3色の化学教材を制作した事例があります。

ウェブ記事なら、スマートフォンでの表示幅、画像形式、更新のしやすさを考えます。展示なら、紙面より大きな出力と見る距離があります。依頼する媒体の実績があれば、その媒体で何を確認すべきかを具体的に話せます。

次に見るのは、題材そのものより説明方法が近い仕事

まったく同じ製品や研究分野の事例が見つかるとは限りません。その場合は、内部構造を見せた経験、時間の変化を並べた経験、地図と数値を組み合わせた経験など、今回必要な説明方法に近い仕事を探します。

新幹線の構造図と工業機械の模式図は題材こそ違いますが、外から見えない部品の位置や動きを整理する点は共通しています。一方、人物の雰囲気を見せる挿絵が得意でも、機械の接続や数値を正確に扱う仕事の経験があるとは限りません。

制作事例では、依頼時の資料と納品仕様まで読む

事例ページに説明があるなら、何を描いたかだけでなく、どんな資料を受け取り、何色で、どのソフトを使い、何点制作したかを読みます。公開画像が一枚でも、実際には一冊分を同じルールで制作している場合があります。

図版イラスト制作所の制作事例「国立科学博物館特別展 深海 2017」では、研究所の資料や過去の展示例をご提供いただき、展示パネルと公式図録に使う20点以上のイラストをAdobe Illustratorで制作しました。こうした記載から、専門資料を使う仕事、複数点の管理、大判と図録への展開に対応した経験を確認できます。

見積もり前に、どこからどこまで頼むかを伝える

外注先によって、手描きラフからの清書、構成の整理、文字入れ、修正、入稿用の書き出しまで、対応範囲が違います。何を任せたいかを伝えずに「図版一式」と問い合わせても、同じ条件で比較できません。

点数、掲載サイズ、色数、参考資料、希望納期、納品形式、使用媒体を提示し、見積もりに含まれる修正回数も確認します。50点を超えるような案件なら、全点の内容が未確定でも進められる精算方法や、複数点の進行管理に対応できるかも判断材料になります。

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