生物の教科書や参考書では、体の形を描くイラストだけでなく、細胞や分子の構造、体内で起こる働きを説明する模式図が使われます。図版イラスト制作所では、遺伝子配列や内臓の働きなど、生物教材の図版を制作しています。高校生物参考書の制作例から、2種類の図をご紹介します。
DNAの形と、塩基の組み合わせを説明する図
DNAの説明では、二重らせんの形と、塩基の組み合わせを同じページで扱うことがあります。立体的な形だけを描くと、奥に回った部分が見えにくくなります。一方、配列を平らに並べた図だけでは、DNA全体の形を示せません。
下の制作例では、左に二重らせん、中央に塩基が並んだ図、右に塩基の組み合わせを置いています。二重らせんの一部から中央の図へ線を引き、どの部分を平らに示したのかがわかる構成です。

右側では、AとT、CとGの組み合わせを、文字と形の両方で示しています。組み合わせが合う場合と合わない場合を並べることで、本文で説明している違いを図でも確認できます。
この図のように、全体の形と細部の説明を1枚にまとめることもできます。別々の図を載せる場合も、同じ文字や形を使って対応を保てば、読者が本文と図を行き来しながら確認できます。
器官を描くだけでなく、その働きを図にする
肺や血液を扱うページでは、器官の形だけを見せても、酸素がどう運ばれるかまでは説明できません。どこで何が受け渡され、どちらへ流れるかを含めて描く図が必要になります。
下の図は、ヘモグロビンの働きを説明する制作例です。左に肺、右に組織を置き、その間を流れる血液と、酸素・二酸化炭素の受け渡しを描いています。赤血球、酸素、二酸化炭素には凡例も付いています。

器官の形を覚えるための図と、体内の働きを理解するための図は、描く範囲が違います。働きの説明では、本文で離れて書かれている器官や物質を、図の中で結びつけられます。写真では同時に見せにくい関係を、1枚で説明する使い方です。
白黒の紙面でも、構造と働きを表せる
今回紹介した図は、色分けに頼らず、形、文字、矢印、濃淡で違いを示しています。DNAの図では塩基の文字と形、血液の図では物質名や矢印が説明の手がかりになっています。フルカラーでなくても、このような図版を教材に掲載できます。
ただし、細かい説明を含む図は、実際の紙面で文字が読める大きさが必要です。全体を小さくして収めるだけでは、名称や記号が読めなくなる場合があります。掲載寸法に合わせた文字入れや配置を含めて制作しています。
生物教材の図版はAdobe Illustratorで制作します。専門内容は、ご提供いただく資料と依頼者側の監修に基づいて描きます。今回の例以外の構造図や模式図についてもご相談いただけます。





