断面図で見せる内部構造。外観の絵だけでは説明できないこと

製品の外観写真を載せても、中の部品がどうつながっているかはわかりません。体の仕組みを説明する本でも、臓器の形を並べただけでは、内部の空間や隣り合う部分の関係が伝わりにくいことがあります。こうした内容に使われるのが断面図です。対象の一部を切り開いた形で描き、通常は隠れている部分を見せます。内部構造を紹介する記事や教材、製品説明では、文章が扱っている場所を読者が確かめられる図になります。

腸の内部と境界を示した白黒の断面図
制作例: 腸の内部と境界を示した白黒の断面図

どこを切るかで、説明できる内容が変わる

断面図は、内部を全部見せればよいというものではありません。円筒形の装置を縦に切れば、入口から出口までのつながりを示せます。横に切れば、中心と外周の位置関係を示せます。同じ装置でも、切る方向によって図が答える疑問は変わります。何を説明するページなのかに合わせて、見える範囲を決める必要があります。複数の部分を無理に1枚へ押し込むと、実際には同じ断面に現れない部品が並んでしまうこともあります。

外側の形も残すと、場所を見失いにくい

紹介している図は、医学系の一般書に制作した腸の解説図です。内部だけを独立した形にせず、周辺とつながる形を残しています。名称を添えることで、本文で説明する部分を図の中で探せるようになっています。切り取った部分を見せるときには、外観図に切断位置を添える方法もあります。全体図と断面図を組み合わせれば、細部を大きく描きながら、その部分が全体のどこにあるのかも示せます。

構造の正しさと、読める大きさを両立する

内部を描く際には、資料や監修内容に基づく構造と、誌面に載ったときの読みやすさを両方考えます。すべての厚さを実物どおりにすると、細い層が印刷で消えることがあります。説明上必要な厚さを強調する場合は、実際の比率と異なることが伝わる表現や注記が必要です。製品の断面でも、形が似ているからといって内部の部品を推測して描くことはできません。確認された構造をもとに、線の重なりや名称の置き場を整理します。

本文は、それぞれの部分の働きや、そこで起きる現象を説明できます。断面図は、その説明がどの場所を指しているのかを受け持ちます。構造と働きの両方を図へ詰め込む必要はありません。位置を示す図と動きを示す図を分ける方が、ページ全体を理解しやすい場合もあります。書籍や技術資料の内容に合わせて、断面図、拡大図、外観図を組み合わせる図版を制作しています。

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