発光する深海生物のイラスト。展示と図録で光を見せる表現

暗い海の中で生物が光る様子は、輪郭を描くだけでは伝わりません。明るい背景に発光する部分を白く描いても、そこが体の模様なのか光なのか区別しにくいことがあります。展示や図録でこうした題材を扱う場合、対象の形と、光が見える環境を一緒に考えます。掲載画像は、国立科学博物館の特別展「深海2017」に関わる制作例です。黒い背景を使い、生物の姿と発光する部分が見えるように描いています。

黒い背景に描いた発光する深海生物
制作例: 黒い背景に描いた発光する深海生物

暗い背景が説明の一部になる

黒い背景は、単に印象を強くするための装飾ではありません。発光する部分と周囲の明るさの差を示す役割があります。白い紙面では見えにくい淡い光も、暗い背景なら表現できます。一方、体全体まで暗くすると、生物の形を読むことができません。輪郭や体の特徴が見える部分を残し、光る場所を区別して描きます。生物の形を紹介する図と、発光の様子を紹介する図では、明るさの扱いも変わります。

資料に基づく形と、光の表現を組み合わせる

この制作では、提供された資料をもとに複数の深海生物を描いています。見慣れない生物でも、想像で姿を補えばよいわけではありません。体の形、ひれや触手などの位置を確かめたうえで、発光する部分を表現します。光のにじみは、輪郭の線だけでは表せないため、透明度を変えた表現などを使います。発光の種類や仕組みの解説は、監修された本文と対応させます。見た目だけから生物の働きを断定しないことも必要です。

展示と図録では、見る距離が変わる

展示パネルは、立って離れた位置から見ることがあります。図録は、手元で細部を読めます。同じ題材でも、展示では小さな発光点が背景に埋もれないか、図録では体の細部が読めるかを確認する必要があります。暗い部分の階調は、画面と印刷でも見え方が変わります。元のデータで見えている形が、掲載先でも読み取れるかを考えて作ります。背景の色を後から変える場合も、光の表現を含めた調整が必要になることがあります。

写真は実際に撮影された姿を見せられます。イラストは、資料で確認された形を整理し、紹介したい部分を見せることができます。発光の様子を扱う展示では、それぞれが伝えられる情報を分けて配置する方法があります。イラストを実際の写真と誤認させず、解説図として位置づけることも大切です。科学展示や図録の図版は、本文や監修内容に沿って、対象と現象を紹介するために制作しています。

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