図版制作者へ渡す手描きラフと参考資料

図版制作の依頼で必要なのは、完成品のようにきれいなラフではありません。何を描き、どこに置き、どの順番で見せたいのかが分かるラフです。図版イラスト制作所では、丸と線だけの「マルチョン」、落書きレベルの手描きで構いませんとご案内しています。

手描きラフだけで形や内容の正しさまで伝える必要もありません。ラフは構成を伝えるもの、写真や資料は描く対象を確認するものです。それぞれの役割を分けて渡した方が、見積もりと制作を進めやすくなります。

手描きラフで伝えるのは、完成後の見た目ではなく配置と関係

白い紙に、描いてほしい物を丸や四角で置いてください。部品Aから部品Bへ動くなら矢印を引き、内部を拡大したいなら該当箇所を丸で囲んで「ここを拡大」と書きます。図の中へ入れる名称も、置きたい場所の近くへ書き込みます。

たとえばシャンプーが汚れを落とす仕組みなら、髪、汚れ、シャンプーの成分、水をどの順番で見せるのかをラフで示します。実際に、技術評論社「生活用品の化学が一番わかる」の図版制作では、依頼者から手描きラフをご提供いただき、それをもとに2色の紙面用イラストを制作しました。

形を正確に描くための資料は、ラフとは別に用意する

手描きラフに細部を描き込む代わりに、対象物の写真、製品資料、研究資料、既存の図版などを添えてください。正面の写真しかないのに側面まで描く必要がある、外観写真しかないのに内部構造を描く必要がある、という場合は、ラフだけでは制作できません。

資料が複数あるときは、「外形は写真A」「部品名は資料Bの3ページ」「色は既存図版C」のように、どの資料の何を見るかを指定します。資料同士で形や名称が異なる場合は、どれを正しいものとして使うかも決めてください。

図の中へ入れる文字は、コピーできる原稿でも渡す

ラフへ書き込んだ文字は、配置を確認するには便利ですが、そのまま文字原稿として使うと読み間違いが起きます。図の中へ入れる名称、数値、注釈は、メール、Word、Googleドキュメントなど、コピーできる文字データでもご用意ください。

使用するフォント、文字サイズ、引き出し線、番号のデザインに媒体側の規定がある場合は、その仕様も一緒に渡します。指定がなければ、既存の紙面や同じ書籍の図版を見本として共有すると、周囲のページに合わせやすくなります。

見積もりには全点の掲載サイズが必要

ページや画面全体の大きさではなく、図版が実際に掲載・印刷される大きさを、1点ずつお知らせください。同じ内容でも、幅50mmに収める図と見開きで使う図では、入れられる文字量や線の細かさが違います。

依頼時にそろえたいのは、手描きラフ、形や内容を確認する資料、文字原稿、各図の掲載サイズ、カラーまたはモノクロの指定、希望納期です。ラフをきれいに描く時間をかけるより、この六つを分けて用意する方が制作指示として役に立ちます。

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