イラストやグラフィックを、医療に活かす。そんな試みがあるようです。
先日、東京のクリエイターEXPOに出展していろいろな方とお話ししたなか、医療系の書籍やコンテンツを専門に制作されている方から「グラフィック・メディシン」というキーワードを教えてもらいました。まだ日本では知られていない用語だというので、少し調べてみました。
※この記事はFacetory70 BLOGからの転載です。
イラスト制作のご依頼をお考えの方へ
「グラフィック・メディシン」とは
「グラフィック・メディシン」(あるいはグラフィック・メディスン Graphic medicine)とは、コミックやグラフィックアートを医療教育や患者のケアに利用することです。
「グラフィック・メディシン」という用語じたいは、イアン・ウィリアムズ Ian Williamsという人が提唱した造語です。イアン・ウィリアムズはアメリカの漫画家で、グラフィックノベル(※)作家として紹介されています。医療関係者や患者を題材にした著作があるようです。
※グラフィックノベル……アメリカンコミックのジャンルのひとつ。大人向けで文学的な長編もの
幼児向け、あるいは試験や医療学習において、グラフィックやイラストはわかりやすく伝えるために有効だとすでに認識されているのは間違いないようで、多くの医療関係者が提唱していることではあります。けれども、「グラフィック・メディシン」を専門領域として確立させるまでにはまだ至っていません。
「グラフィック・メディシン」の使いどころ?
たとえば、一般の人が患者として病気のしくみや治療方針について医師から説明をうけるとき、その内容が難しくて理解しにくいことがあります。そんな場合に絵や図があれば、患者の理解を助けることができます。
このように、患者と医師のコミュニケーションをより深くしたり、医療現場の状況を伝えるのにイラストやグラフィックを役立てることが「グラフィック・メディシン」という旗印のもとに模索されているようです。
グラフィック・メディシンのFacebookページのタイムラインでは、がんの専門医がオンラインコミックを制作して患者に病気のことをより易しく伝える活動などが取りあげられています。
余談ですが、今回の表題の画像は私が過去手がけた仕事のひとつで、医師向けの専門誌の表紙のためのイラストです。毎号の専門的なテーマをできるだけわかりやすい、やわらかい雰囲気の表紙で飾りたいという編集者さんの意向から生まれたイラストです。
こういった作例を持って行ったのもあって、先日のクリエイターEXPOでは医学系の書籍や専門誌を手がけている出版社・編集プロダクションからのお声がけがすごく多かったです。