模式図とリアルなイラストの違い。説明に必要な形をどこまで描くか

模式図は、対象の特徴や関係を説明するために形を整理した図です。リアルなイラストは、外観や質感を見せたいときに使われます。どちらを選ぶかは、対象の種類だけでは決まりません。同じ生物でも、体の色や形を紹介するページと、体内の働きを説明するページでは必要な絵が違います。教材や技術資料の図版制作では、何を読み取ってほしいのかに応じて、実物に近い表現と省略した表現を使い分けます。

原子とイオン、分子構造、結晶の模式図
制作例: 原子とイオン、分子構造、結晶の模式図

模式図は、関係を読み取るための図

化学教材の制作例には、原子やイオン、分子構造、結晶を示した図があります。これらは、対象を肉眼で見た姿を再現したものではありません。丸や線を使い、教科書が説明している構成やつながりを示しています。見た目の情報を減らすことで、本文で扱う違いに目を向けやすくなります。ただし、形を簡単にすれば何でも模式図として成立するわけではありません。省略した後も、説明に必要な関係は保たれている必要があります。

リアルな絵で伝えられる情報

外観を扱う図鑑や製品紹介では、表面の模様、輪郭、光沢などが対象を知る手がかりになります。たとえば魚の紹介なら、ひれの形や体の模様が本文と結びつきます。容器の紹介なら、透明な部分と不透明な部分、丸みや素材感を見せられます。こうした情報は、単純な記号だけでは伝えにくいものです。リアルなイラストでも、背景や不要な反射を整理して、紹介したい対象を見やすくすることができます。

1つのページで両方を使う場合

外観を示すイラストと、内部の模式図を並べる構成もあります。最初に対象の姿を見せ、次に仕組みを説明するページです。その場合、2つの図で同じ部分が対応していることを示せると、説明を追いやすくなります。リアルな外観図から模式図へ切り替わるときに、向きまで変わると読者が場所を見失うことがあります。色や名称、見る方向をそろえるなど、絵柄の違い以外の部分でつながりを作ります。

省略したことも、読者に伝える

模式図では、寸法や距離、数量が実物の比率と異なる場合があります。見やすさのために広げた間隔を、実際の距離だと受け取られないようにする必要があります。リアルなイラストでも、資料がない部分まで写実的に描けば正確になるわけではありません。どこを再現し、どこを整理するかを内容に合わせて決めます。教材、一般書、企業の説明資料に使う図版では、この判断が文章と絵を結びつける仕事になります。

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